愚物語の感想とあらすじ|傷物語映画化について

愚物語 小説
愚物語

傷物語映画化のニュースと同時に新刊のリリース。
久しぶりに西尾作品を読みました。

ほんっとにこの作者は一人称にこだわるな・・・ってところと、
自意識のうじうじ感をひたすら描写するねちっこさとクドさ、
マジで男性作家だと思えない位です。

愚物語は3つの短編が納められているのですが、
一番最初のそだちフィアスコなどは、
老倉が転校先で感じた情動をひたっすらねちっこく書いています。

そしてこれが一番紙幅を取っていて、しかも怪異登場せず!

もう別作品でいいじゃないか(笑)

・・・さっきからねちっこいとかクドいとか書いていますが、
これは皮肉では無くてもう文学的才能だと思います。

自分とその自分をメタ視している自分を自覚的に描写すると、
豚骨スープを煮詰めるようにどんどんクドくなっていくのですが、
それでもちゃんと読める!というのが凄いのです。

少女の内面をこんなにクドく書く男性作家は珍しいと思います。

西尾 維新,VOFAN
講談社 2015-10-06
¥ 1,404

そだちフィアスコ

老倉が転校した先の学校(方言からして広島あたり?)で、
どうやって振る舞うか悩んだり、クラスのイジメ問題にぶち当たる話。

学生にとって世界の全てが学校とかクラスですから、
オッサンから見たらちっせーと笑うような事が世界情勢と同等の重さで
語られます。

クドくひたすら独白を繰り返す事で、
登場人物の世界を読者に同調させるテクニックは、マジで上手い!
ホントに文学だと思います。

するがボーンヘッド

神原駿河が自室を掃除していたら、ふすまの中から暗号のような紙が
見つかった。筆跡は母親、臥煙遠江。
扇と一緒に謎解きをすると、紙に記されていたのは「悪魔の一部」の隠し場所だった。

西尾作品らしいというか、物語シリーズらしい言葉遊びとコントで、
楽しく読めました。

唐突に臥煙遠江の幽霊(?)が登場したのには突っ込みましたが、
その幽霊が駿河に向かって、
自分の背中を追いかけるな、
あの世で旦那とラブラブだと貝木に伝えてくれというシーンは
ある意味ひど過ぎw

思いっきり恋心見抜かれてるじゃないかw

ついついアニメの貝木を見ていると、カッコイイかのように誤解してしまいますが、
実はかなり未練たらしくてひねているというのがバレバレです。

うーん。ダンディズムはやせ我慢ですけど、これじゃ貝木泥舟立つ瀬なしw

つきひアンドゥ

これこそ愚物語って感じのエピソード。馬鹿杉。

等身大人形の振りをしていた斧乃木余接が、「生きている」事が、
阿良々木月日にばれてしまって、取り繕うためにナメクジの怪異を退治する話。

登校した瞬間に気分が乗らないからと帰宅する月日に
フェイントをかけられる余接w

これはアニメのテンポですね。

実は結構ハードで、動いている余接を見てしまった月日が、
ボウルいっぱいのサラダ油をぶっかけて火を付けようとした・・・というか、
火を付けたり、ナメクジの怪異にすり潰されて死んでしまったり
余りにもバカバカしい軽さでガチの怪異ネタが消化されています。

落ちとしては、月日がピーキーなのは、
内に宿ったしでの鳥が肉体的な損傷だけでなく、
心的外傷まで癒してしまうため、懲りることが無いから・・というもの。

忘れたいとか覚えていたくないような経験は全てチャラになるので、
ヤバい性格になるんでしょうねw

そして漫画家目指して頑張っている千石撫子がちらっと出てきていて、
明らかに変化しているのが良かったです。

これは痛い思いを忘れてしまう月日との対比として、
かなりいい感じでした。

それと火憐は一足先に独立して家を出たみたいですね。

最後に

まずはとにかく来年は傷物語の3編を映画館で見る事は必須!

作画演出が神懸ってます!

思えば傷物語が2008年ですから、飛び飛びでもう7年も西尾作品を
読んでいたのですね。

映画化決定!といってから3年か・・・。

感覚も変わってきますから、
今原作を読み返したらどんな気持ちになるのか気になりますね。

モダンの中の物語シリーズはアニメのスタイリッシュな印象が強くて、
原作分は大分薄れてしまいましたよ。

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