この度、ベルギーで未成年の安楽死を認める法案が可決されました。
鬱っぽいモダンとしては色々と思う所があります。
これ、凄いニュースですよね。
あのオランダでも安楽死は12歳!以上から、
という制限があったのです、ベルギーは年齢制限を取り払いました。
だったら幼稚園に入った4歳児でも安楽死を望めば
かなってしまうのか、と思いきや、
未成年者の安楽死を認める場合、患者が肉体的苦痛を受けており、
死期が近いことが条件。患者自身が安楽死について理解した上で判断し、
親の同意を求める。判断には医師、精神科医の確認も必要とする
との事。
加えてベルギー政府のコメントでは、
死に近い子供は早熟なので自分の人生の価値を判断できる、との事です。
分かるような気がしないでもないですが、
極めて稀な事例しかないのでその都度判断するという事なのでしょう。
下した残酷な判断を法律が妨げないように、という意味だと思われます。
安楽死と尊厳死
安楽死とは、回復が望めず患者がひどい苦痛を感じている場合に
患者の希望に死に至らしめる(殺してあげる)事です。
尊厳死とは人間らしい尊厳を保ったまま死ぬために
延命治療を断り、生命終える事です。
この2つの違いは非常に微妙で解釈の差でどちらの呼び方をするか
変わってくると思います。
凄くざっくりと分けると、積極的な要請があって、患者が死にたいのか、
そうでないかの差と言っても良いでしょう。
例えば毎日毎日ひどい苦痛を受ける不治の病なのに
病院では治療せざるを得ないので、治療の効果が無くなるまで
延命させられてしまう場合。
患者が死を望んだらどうでしょう。
治療をやめて痛みだけを消してくれ、と言って、その結果死んだら尊厳死で、
死なせてくれと言ったら安楽死になります。
・・・・・尊厳死は患者の問題、安楽死は医師の問題と言えるかも。
この死に対する微妙なニュアンスの差をベルギーでは
子供が分かる、と判断しているのです。
もちろん、前述のように実施されるハードルは高いのですが、
法律が認める事で、この制度をつかう子供が増える事は間違いありません。
実際、12歳以上の安楽死を認めるオランダでは
毎年安楽死の実施件数が増えています。
安楽死の方法は中枢神経をマヒさせる注射をする事で、
眠るように死ぬことが出来るので、
苦痛を無くしたい患者にとって魅力的なのでしょう。
と、ここまで徒然と書いてきましたが、何が言いたいのかと言うと、
法律が認める事で、子供でも安楽死してもいい、という空気が
出来てしまう事が不自然だ、という事です。
そもそも子供が死に至る重病で回復の見込みがない、というのは
非常に少数で、本来法律が制度化するほど件数が無かったはずです。
しかし未熟児や障害児でも「助かってしまう」医療技術の進化のせいで
本来死産になるハズだった子供の生命が繋がり、
結果自分で死を望むしかなような八方塞がりが増えているとしか思えません。
医療技術の進歩によって出来る事を野放図にやらかしてしまったため、
矛盾を解決するために、また殺しの医療技術が使われるわけです。
ここまで来てしまうともう文明が退廃しているとしか思えません。
ブラックジャックとキリコの対立は現在でも起きています。
最後に
SF漫画、銃夢の公衆自殺装置。
中には歯車が入っていて志願者をすりつぶします。
こっちは、あらゆる病気が克服されているので、
人生に飽きた人がスナック感覚で殺してもらうのですが、
子供の安楽死を法律が認める、という現実が
SF漫画を追いかけていますね。
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