毎日かあさんもいつの間にやら11巻。
息子も娘も成長して手がかからなくなってきました。
西原理恵子先生の本は安定感があって、所謂ハズレ本に当たったことがありません。
対談本は微妙なのも結構ありますが、
あんこの詰まったたい焼きのようなオール西原本は最高です。
若い頃はオンナ無頼系の作風だったのですが、
カモちゃんとの結婚やその別れからは目に見えて作風が変わりました。
その中でも息子と娘をテーマにした毎日かあさんは、
時系列を行きつ戻りつしながらも、着実に時間を積みかさせていて
自分の読者歴の長さや時間の経過を実感させます。
もう、息子が16歳とか・・・・・・時間経ちすぎだろ!というのが
モダンの主な感想だったり(笑)
あらすじもネタバレもあるような無いようなエッセイ漫画なのですが、
今回は大きな転機が訪れます。
なんと、息子が海外留学したいと言い出すのです。
確か前の巻では反抗期を迎えていたはずですが、更に一歩成長したようです。
そして足りない成績を補うために猛勉強。
これまで作中では天然おバカキャラだった兄が家庭教師をつけて、
猛勉強の末なんと合格!
・・・逆にいい子だった娘のほうは勉強しない子になってたりするところが
面白いですね。
巻末ではだんだん親離れしていく息子を少し寂しげなまなざしで見送る作者に感情移入です。
西原作品はウェットなんですよね、ホントに。
無頼キャラではあるんですが、物凄く人間味があって人を観察しています。
「自分供養」とか、ああいう言いづらいようなことをサラッとユーモアに包んで書いてしまうのは
才能と技術の賜物だと思います。
だって、やたらと娘をお嬢様に育てている貧乏家族出身の母親の気持ちなんてかけないですよ。
娘で願望充足しているんでしょとか、娘は貴方ではない、独立した人格だ、みたいな、
クッソつまらない正論しか吐けないのが凡人。
でも才能がある作家に掛かれば、不相応なことをしている母親が
なにはばかることなく堂々と本音を吐いて開き直っているのに、
読者は母親のほうに感情移入してしまうのです。
やっぱり人間にはそれぞれバックグラウンドがあって、
今の姿があるわけです。
それぞれの事情を知ってしまったら、正論は無力になります。
やっぱり感情移入パワーが西原作品の肝ではないでしょうか?
次の12巻では娘ネタと息子の海外体験ネタが増えるでしょうね。
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