思い出のマーニー映画のネタバレと感想!原作との違いについて

原作小説を読んでかなりビビっと来たので、公開日の朝イチで見てきました。
早速ネタバレ全開で感想をお伝えしたいと思います。

まず、一言!

この映画凄い!

無駄なシーンや演出がまったくないし、
王蟲もガンシップもトトロもラピュタも空族もアクションもないのに、
凄いパワーで映画へ引き込まれます。

キャラクターの演技やその見せ方が無茶苦茶上手くて、
なんでもない日常のシーンを見ているだけなのに目が離せません。

例えばアンナが舟を漕ぐシーンや、波を受けてバランスを取ろうとするシーン、
どれだけ水や人の動きを観察して描いているのかと恐ろしいクオリティ

またリアルなだけでなく、劇中アンナは結構ベタンと転ぶのですが、そのあたりも
自然なんだけど痛くみせないようにデフォルメしている配慮があります。

水以外のシーンを例に挙げると人見知りなアンナがセツにつれられて
ガミガミおばさん(笑)に挨拶するシーンでは
足が落ち着かなくなって、つま先で地面をトントンしながら、
体を揺らしています。

アンナの居心地の悪さが体の使い方にモロ反映しているのです。

TVアニメやちょっとしたアニメ映画と違って、モブ(群集)でも
人物の全身を描いているので、冒頭の砂場で子供が遊ぶシーンなどは
ほんの数秒なのにどれだけ贅沢なんだと・・・。

細かいところでは、上流階級のパーティに出席する女性は
みんな口が大きくて自己主張しそうな人ばっかり!
演技もパーソナルスペースを広く取ったしぐさで自信を感じさせます。

例を挙げたらキリがないので、止めておきますが
全てのシーンが全力で仕上げられた凄い作品だということは分かって欲しいです。

また、アナ雪もマーニーも女同士の友情(姉妹愛)を描いているのですが、
その演出方法は全く違います。

アナ雪は結構、パートがハッキリ分かれていて
このシーンの意図はコレ!みたいにクドかったり、コメディシーンが
わざとらしかったり、ディズニー的な誇張した演技演出があって、
その上に自己犠牲や無償の愛という作品テーマが乗っかってるので
正直、わざとらしさを感じます。

アナ雪は画面作りと音楽で「感動させられた」感があるのですが、
マーニーは本当に素直に感動しました。

過去記事→ アナ雪のサントラの値段は?ゲオやtutayaでレンタルできるのか?

モダンが原作を読まずに映画を見に行っていたら、
マーニーがアンナの祖母だというラストの感動は倍増したかもしれません。

原作との違い

ここからは原作との違いについてお話します。

基本的には以前書いた、原作紹介の通りストーリーが進むのですが
舞台がイギリスから北海道に移っていることで改変があります。

過去記事→ 思い出のマーニーのあらすじネタバレ!原作の感想

まず、舞台がイギリスのノーフォークから北海道へ。
キャストも日本人になります。

アンナの本名は佐々木アンナ。

原作ではマリアンナと名づけられた後、アンナになるのですが
映画ではそのままです。

また、アンナはクオーターの設定ですね。

マーニーは原作で本名がマリアンだということが明かされますが、
映画では最後までマーニーのまま。

(おそらく)イギリス人のお嬢様、ということで日本人と結婚した後、
間に娘を挟んでアンナと血がつながりますからアンナは1/4というわけです。

劇中アンナの目の色は変わっている、と指摘されていましたね。

また、娘を手元で育てなかった理由について、
原作では第二次世界大戦でロンドンが攻撃を受けたせいで
アメリカに疎開させていました。

しかし、映画ではマーニーがサナトリウムに入ってしまったため、
娘を全寮制の学校に入れることになったと改変されています。

サナトリウムということは、結核だったのかもしれません。

それに、原作では娘夫婦は一度離婚した後、アンナをマーニーに預けて
交通事故で死んだことになっていますが、
映画では結婚した相手と一緒に交通事故にあっています。

離婚のステップを飛ばしています。

そして日記の解説をしてくれる役が変わります。
原作ではギリーという女性がその場でアンナとマーニーの関係まで
明らかにしてしまうのですが、映画では違います。

海辺で油絵を描いていた老婦人(久子)がマーニーと親交があったことから
日記を解説してくれます。

この時点ではアンナは自分がマーニーの孫だということを知りません。

しかし、最後の最後にアンナが子供のときに握り締めていた写真が出てきて、
その写真に写っているのが湿っ地屋敷で、しかも裏にマーニーのサインが
入っていたことからアンナが自発的に察するのです。

そして、作品の根幹に関わる最大の改変箇所があります。

それは舞踏会でシーラベンダーの花を配ったシーン

原作ではアンナがシーラベンダーを配ったことを覚えていて
日記の解説をしてくれるギリーが忘れてしまった過去イベントを
言い当てます。配った本人ですからね。

ここは最重要シーンの一つ読者にマーニーの実在を
確信させるエピソードなのですが映画ではそのシーンはありません。

つまり原作ではタイムスリップ的にマーニーと会っていた、と
読み取れる演出なのですが
映画では孤独なアンナがマーニーという夢や幻を
見ていたかのように描かれています。

マーニーと別れるとベットの上で目を覚ますとか、道に倒れているとか・・・・。

ダメ押しに、きらびやかな舞踏会の次の日、
アンナは荒れ果てた湿地の屋敷に足を運んで、
改めてここが使われていない館だということを確認しています。

極めつけは原作に無かったこのセリフ。

「私の部屋に来て」

アンナがマーニーを自分の部屋に誘うのですが
マーニーは館から離れられないと拒否するのです。

おかしい。

・・・にもかかわらず、マーニーとの関係を維持するのです。

これは館にマーニーは住んでいない、あるいは幽霊かもしれないけど
親友だからつきあう、というスタイルです。

原作でのアンナはあくまでも最後まで
マーニーが館にいると思っていましたし、
館の改築が始まってからマーニーを思い出せなくなっていくのです。

原作のアンナがマーニーを自分の部屋に招こうとしなかったのは、
映画のように叔父さん夫婦と関係がよくなかったからです。

※映画の大石夫婦は無茶苦茶いい人になってます!

繰り返しになりますが、
映画では時間軸が捩れて孤独な二人が出会った、という解釈を
していないようなのです。

映画での解釈では、
アンナが赤ん坊の頃に老マーニーにベットで聞かされた話を
潜在意識が覚えていて、
湿っ地屋敷を見たことで昔話が超リアルに再現された・
・・的な演出の意図が見えます。

赤ん坊のアンナに老マーニーが語った内容が、
そのままアンナとマーニーの邂逅エピソードになっているからです。

小船の件とか無くしたスニーカーが杭の上にある、というシーンがあるので
完全にアンナの幼児記憶の焼き直し再生だと断言しづらいように演出していますが、
ガチガチに解釈すれば断言したくないけど、
アンナは過去の祖母と出会っていない、ということになります。

モダンの感覚だとこれは改悪じゃない?と思うわけですが、
原作読了の方はどう考えているのでしょう?

気になるところです。

最後に

最後ですが、アンナとマーニーのキャラクターについて。

アンナは思った以上に中性的でしたね。

スカートを一度もはかず、常に手足が見える少年みたいな格好を
していましたし、ショートカットで胸が全く無い。

12歳という年齢設定ですが、
これは監督の理想の少女が詰め込まれているのかもしれません(笑)

対してマーニーはゆったりしたワンピースかドレス。
ロングヘアでダンスも出来る。
アンナが少年っぽいのに対してマーニーはかなり女性的です。

つまり本作はダブルヒロイン制(笑)

宮崎駿監督の作品に登場するキャラクターほど、
特徴が際立っていないのですが、
細部の積み重ねが全体のクオリティを異様に押し上げている作品だと思います。

思い出のマーニーは宮崎駿監督引退後のジブリ作品として、
今後が期待できるレベルだと思いますが、
やっぱり地味さは致命傷になりかねません。

極大ヒットを当てれば、こういう作風でも集客できるのでしょうけど、
いかんせん宮崎監督が大きすぎて、
このラインで名作映画を作っても
宮崎駿監督作品でないものは映画館で見ないという層を
取り込めないままです

脱・宮崎駿を推進しないと大変なことになってしまいます。

次はラピュタみたいな痛快活劇がいいな(笑)

 この記事へのコメント

  1. hh より:

    コメント失礼します。
    こちらの投稿の最初の部分だけを見て、マーニーを見に行きました。
    凄くいい映画で、行ってよかった!と思えました、ありがとうございます。

    お話の中で、一つだけ思ったことがあります。
    私も映画の演出を見て、アンナとマーニーは出会ってないのでは?と思ったのですが、見終わったあと考えてみると、あのマーニーは幽霊かもしれないけど、確かに居たのかな、と思えてきました。
    マーニーとアンナは最後の会話で「許してくれると言って」「許してあげる」というやりとりをしていました。
    これは祖母(アンナは両親と勘違いしていた)に先立たれ、置いていかれたことを「絶対に許さない」と思い続けてきたアンナに対して、マーニーがなんとかその辛い思いから解き放ってあげられればと思って、あの場所で再会したと…。アンナ一人の幻想としては、このやりとりは出てこないのではないかと思えました。
    どちらにも見えるように演出されているのかもしれませんが、やっぱり2人は出会っていた、というほうが嬉しいですね。

    長々と失礼しました。
    レビューありがとうございます。

  2. hh より:

    連続で失礼致します。
    マーニーは幻想?という点についてもう一つ、2人が出会った時、マーニーが「いつも見ていたのよ」というような事を言っていました。
    アンナは老マーニーとは1年前後しか一緒に居なかった事を考えると、アンナ一人の幻想としては言葉は出てこないのではと思います。マーニーは亡くなってからも、ずっとアンナのそばに…。

    すみません、なんとかマーニーとアンナに出会っていて欲しくて、お目汚ししてしまいました。
    レビュー、ありがとうございます。

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