エクゾスカル零8巻の感想!最終回のネタバレについて

うーん、物語世界の設定の重力に負けてしまった、という感じで物凄くもったいないなぁ、という最終回でした。

シグルイを経て、覚悟のススメのリニューアルである本作は、まさに唐突に終了してしまいました。

7巻までの葛藤は、結局何をやっても無駄だったという事が判明しただけ。

全ての人類は到達者になってしまう。

人類の滅びは避けられないので、ヒーローの出来る事は人類の最後を看取るだけという結論に落ち着きました。

ホントに8巻のあとがきを読んで、作者のやりたかった事や苦悩が伝わってきます。

山口貴由さんが目指していたテーマは、どうあがいても滅ぶという状況が分かっている中で、その死を覚悟して生きる命の輝き、みたいなものを描きたかったのだと思います。

だから滅びの真実を見据えた葉隠覚悟は、偽りの希望を与えるメデューサ計画を否定したわけです。

しかしそんな覚悟は、メデューサ計画よりもさらにウェットな形で「偽りの希望」を与える御菩薩木紡にテーマ的に破れます。

御菩薩木紡が与える希望とは何か?

彼は全ての人間が到達者になる事を知っていながら、その時まで無心に生きていけるよう、ただの食用油を到達者にならない精油と偽って配って回っているのです。

本来なら滅びの現実を見つめる覚悟の方が正しく、録魂球メデューサを破壊した時と同じように御菩薩木紡を否定するハズです。

しかし!8巻ではそうはならなかったのです。

本来なら格闘による肉体言語コミュニケーションを経て覚悟が勝つことで、「滅びの現実を直視せよ」というテーマが昇華されるはずでしたがそうはなりません、というか、その展開にしてしまうと、物語ではなくなってしまいます。

結局、御菩薩木紡を否定した後の言葉が無くなってしまった事が、連載終了の原因だと思います。

だから無理やりに、御菩薩木紡にヒーローの魂を与えたのが冬眠中の葉隠覚悟であり、その魂を失ってしまった為、エクゾスカル零の覚悟は記憶喪失になり、地獄に落ちているのだというウルトラCの着地をするのです。

確かに、覚悟のススメの葉隠覚悟だったら逆十字学園の仲間たちと一緒に、御菩薩木紡のような行動を取ったと思うのです。

そして何らかの手段で世界の再建を果たしたのではないでしょうか。

どうしてこんな形になってしまったのか、考察、とまでは行きませんがモダンの考えを述べてみたいと思います。

最終回の意味

モダンが思うに本作の世界は、原作の(漫画版)風の谷のナウシカの最終回後を描いた作品だと思うのです。

ナウシカ原作版のラストでは、腐海が汚染された世界を浄化する為につくられた存在である事が明らかになるだけでなく、ナウシカ達が汚染された世界でしか生きていけない特殊な人類として、製造されたことが判明します。

ナウシカ達は世界を浄化するまでの繋ぎの人類。

世界の浄化が終わった後の清浄な世界では、生きていく事が出来ず、血を吐いて死ぬ定めです。

その後で旧世界の技術を集約した墓所に納められた新人類が現れて、清浄な世界の主人になる、という筋書なのです。

しかし、ナウシカはこの運命に抗います。

旧人類の世界再生計画を否定して巨神兵に命じて墓所を破壊します。

清浄と汚濁こそ生命。

苦しみや悲劇や愚かさは清浄な世界でもなくならない。それは人間の一部だから。

だからこそ苦界にあっても喜びや輝きもまたある。

命は闇の中のまたたく光だ! 全ては闇から生まれ闇に帰る。

これ!!

この後の人類がどうなったか、というと腐海の浄化と同じくして滅んだに違いありません。

この、滅びを受容した後を語るべき物語がエクゾスカル零だったハズなのです。

ところが作品中で登場する人類は絶望して集団自殺したり、見苦しく争ってばかりで誰も闇の中にまたたく光たりえない

そこへ覚悟という暴風がやってきて死ぬまで生きろ!と言うハズだったと思うのです。

ところがエクゾスカル世界では人類はただ滅ぶのではなく、到達者という人食いモンスターになってしまうのです。

これが問題の最大点だと思います。

いくら高潔な魂をもっていても最後は見苦しいモンスターになって慕ってくれる仲間を襲ってしまいます。

これだったら高潔な人物ほど、仲間に迷惑をかけないように孤立したり、自ら命を絶つでしょう。

ゆくゆくは人食いモンスターになるのだったら、自分の人間性が残っているうちに・・・という覚悟に変換されてしまう。

これが物語の構造的問題点だと思います。

エクゾスカル零の覚悟のように、冷徹な真実だけを見つめれば、自決以外に道はありません。

このモンスター化が無ければ、闇の中に瞬く光として、その「火」が消えるまで誇り高く生きていけたと思います。

本作の人類が不治のウイルスなどに犯されていて、ゆるゆる滅んでいくという物語であったなら、死を覚悟して日々を一生懸命生きる、その一瞬こそが尊い、というテーマを語る事が出来たのではないでしょうか?

エンディングで人類は滅ぶけど、ヒーローは永遠!的な・・・・、まるで偶像を崇めるように感じてしまったので、モダン的にはかなり違和感があります。

この考えがあっているかどうかは分かりませんが、物凄く残念だったなぁ、というのが8巻読了後の感想です。

山口先生の次回作がどのような作品になるかわかりませんが、引き続き追っていきたいと思います。

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