まほ嫁でヒットを飛ばしたヤマザキコレさんの新シリーズ。
まほ嫁がブリテンだったらフラウファウストはジャーマンって感じですね。
こっちはタイトルと表紙を見た瞬間の予想が当たりました。
なんとファウスト博士の女体化(笑)もの。
ちょっとお下品な言い方ですが、
知識欲の権化ファウスト博士を美貌で飄々とした才女にして、
メフィストフェレスをイケメンっぽい悪魔(ただし顔無し)にしています。
で、二人だけだと物語の説明をしてくれる狂言回しがいないから、
フラウ・ファウストに憧れる少年を加えていますね。
そしてなによりもファウストといえばゲーテ!
ドイツの文豪ゲーテといったら若きウェルテルの悩みよりも、
断然ファウスト派(?)です。
モダンは大学時代にゲーテの作品にハマり、
特にファウストに関しては2つの翻訳で何度も読みました。
ファウスト博士に関してはドイツの民話というか、伝説があって、
それを下地にゲーテが戯曲としてファウストを仕上げています。
一体どんな物語なのかというと、一言では言い表せないし、
書きだしたらいつまでたっても終わらないのですが、とにかく凄い!
漫画で興味を持ったら原作は若いうちに読んでおくことをオススメします。
原作のラスト
このフラウファウストの作品の根幹にかかわるネタバレになるのを承知で書きますが、
ゲーテのファウストでファウスト博士がメフィスト・フェレスと交わした契約は、
ファウスト博士の進歩が止まり、完全な満足を得ることが出来たら、
魂をささげるというもの。
つまり、ファウストが満足したらメフィストの勝ちで魂は悪魔もの。
ファウストが死ぬまで満足せず、進歩前進を続けたらファウストの勝ち。
だからメフィストはファウストを満足させるためにあれこれと悪魔の技を使いますが、
なかなかファウストは歩みを止めません。
しかし、最後にとある地方の領主となり、
老いさらばえたファウストは、ベットの上である音を耳にします。
それは悪魔たちが死期を迎えたファウストの墓穴を掘る鋤の音なのですが、
これを領民の大開拓の営みの音だと勘違いして勝手に満足してしまうのです。
分かった!日々の生活の糧を戦い取らねばならぬ者こそ美しい!
その瞬間に向かって我は言いたい、止まれ!お前はいかにも美しい!
・・・決め台詞を引用しようにも記憶があいまいで申し訳ありませんが、
こんなセリフを言ってしまったファウストは死ぬ瞬間、遂に満足しちゃったのです。
そこで賭けに勝ったぜ!と魂を取りに来たメフィストと悪魔達ですが、
天国からグレートヒュンと天使達が現れて悪魔を追い払い、
たゆまぬ努力を尽くしたファウストの魂を引き上げていく。
ゲーテのファウストはそんなラストです。
この作品はホントに日本の創作に大きな影響を与えていて、
悪は神の一側面である(人間を誘惑する事自体が神から与えられた仕事)とか、
フラスコの中のホムンクルスも、多分ゲーテの2部が元ネタじゃないかと思います。
本作だと自動人形に内蔵されてますね。
ホムンクルスなんて鋼の錬金術師とか、Fateをはじめとして、
漫画・アニメ好きなら誰でも知っているモチーフですよね。
そしてそして、魔法少女まどかマギカで有名になった
ワルプルギスの夜もゲーテのファウストが一番有名じゃないかなぁ。
他に引用されまくりの作品としてはミルトンの失楽園も有名です。
格調高い文体で悪魔が神に反逆するって話の筋は、
無茶苦茶影響ありますし、
ファンタジー作品の源流のかなりの部分はこの辺にあったりします。
フラウファウストではメフィストの体がバラバラにされて、
あちこちに封印されているようですし、
全部を集めてメフィストを復活させようとしているフラウファウストの真意とは?
メフィストとフラウファウストが交わした契約とは?
この辺りが作品のキモになるでしょうね。
多分真実の愛を得られるか、否か?とか、
そんな感じの契約を交わしてそうだと思いますけど、
お楽しみはまだまだ先ですね。
きっとメフィストが五体を取り戻してからでしょう。
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