弐瓶勉さんといえば、現在放送中のシドニアの騎士で大人気ですが、処女作BLAME!が新装版で登場です。
本作について以前よりキンドル版があったのですが、全集が出るまでは・・・と思って買わなくて正解でした。
現在、BLAME!の通常版キンドルは発売停止になっていて、新装版への切り替えがされているようです。
そして新装版のいいところはアフタヌーンで連載中にカラーだったページが、そのまま掲載されている点です。
書籍版だと印刷のクオリティや判の大きさで迫力が増しているようですが、キンドル版だとちょっと変化が分かりづらいですね。
5月19日の時点では2巻まで出版されており、全6巻にまとめられる様子。1巻当たりの金額とボリュームが増えています。
再読の感想
1巻はの最初の頃はホントに技術がマインドについて行けてない感じで、情念だけで書いているみたい。
これは永野護のファイブスター物語の1巻を読みなおした時も感じました。
そして特徴的なのが人物と背景・・・建築に区別がほとんど無い感じ。
これはセーフガードが都市の構造物から生成される、とか、珪素生物だからというのではなくて、個人的には生き物に見えないのです。
傷を負っても痛みは無さそうですし、人間キャラを人間として書いているとは思えなくて、入り組んだ背景と合わせて凄く観念的です。
何せ「におい」が全く感じないし、モノを食べるシーンが極端に少ない。
カロリーメイトみたいなブロックを齧ったり、コンクリートから逆さに生えた長いもみたいなものを折って食べたり。
ブラムの前半では多少はあった食事シーンも、後半では全く無くなります。
ブラム、アバラ、バイオメガときて、シドニアも最初の内は観念的だったのですが、長道がものを食べるシーンを描いたり、星白やイザナ、ユハタといったヒロインと絡む事が増えたことで、人物キャラに血が通った風に見えます。
これは画力の向上もあるのですが、明らかに性の無い世界から、性のある世界へシフトしている風に思います。
そして弐瓶作品で日常シーンがあるのはシドニアだけですからね。凄く大きな違いです。
だからこそ、アニメ化までされる普遍性を獲得したのでしょう。
観念と普遍性の両方を確立した作品作りが出来るようになる過程をリアルタイムで追ってきたことは読者として本当に楽しい経験です。
シドニアの連載も最終的にはどの形に落ち着くか不明ですが、要チェックの作家である事は間違いありません。
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オススメの一作です!
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