攻殻機動隊新劇場版の感想!あらすじとネタバレ

攻殻機動隊新劇場版 映画
攻殻機動隊新劇場版

前回の記事でパイロホリックカルトについて書きましたが、こっちは映画館でキッチリ見てきました。

ホントに新劇場版ですね。

原作の士郎正宗テイストではなく、押井版の映画2作でもなく、神山版のSACシリーズでもなく、冲方丁の攻殻。

基本的なマインドや構成は原作1巻をかな~り意識しつつ、チームプレイに関しては神山版。押井カラーは所々の演出に。

ちょっと乙女チックなところが追加されていますね。これがうぶちんのカラー?

取りあえず、ざっと紹介から。

あらすじとネタバレ

まずは作品が非常に入り組んでいるので間違って解釈している点があるかもしれませんし、色々端折っているのでご了承ください。

まずは無料で見られる冒頭12分。

これは国防省が国防庁に格下げされる決定を受けて、反発する軍人が国会議事堂を制圧したシーンです。

続きが気になるところですが、アンチクライマックスに作品をまとめてしまうと、新劇場版は草薙少佐が過去の因縁とケリを付けて、ボディを大人の物に替え、攻殻機動隊が設立される話。

これまで追いかけてきたファイアスターターウイルスを作っていたのは、クルツ中佐で、その動機は陸軍501機関や生まれながらに障害を持って、全身義体化するしか生きる道の無い孤児院の生き残りの為です。

ちなみに草薙素子もクルツ中佐と同じ孤児院の出身です。

問題がややこしくなったのは義体のデッドエンド問題のせい。

デッドエンド問題とは、義体の規格がバージョンアップ出来なくなる事です。

拡張性を前提として設計されていない義体を利用していると、バージョンアップできなくなり、しかも旧パーツもなくなるので自分の体がメンテできなくなり、生きながらに腐り死ぬハメになります。

軍隊で全身義体化した軍人や、生まれながら全身義体の障害者にとっては、死活問題です。

この為、デッドエンド問題を放置して新規格をリリースし、シェアを独占したい企業側と、旧規格の維持で権力構造を維持したい側とで、熾烈な戦争が起きています。

クルツ中佐はこの戦争のどちらが勝っても自分たちが生き残れるように、電脳洗脳ウイルス・ファイアスターターを作り、対立する陣営それぞれに手を貸していたのです。

また、ネット上の情報を収集し進化しつづけるファイアスタータに、第三世界という情報の世界へシフトする方法を託していたとも言えます。

映画冒頭で総理が爆殺されるシーンがありますが、これは旧規格維持派の総理が企業側に敗北したって事ですね。

もっとも、これはファイアスターターウイルスで総理の息子の電脳をハックし、爆弾スーツケースを持ち込ませたクルツ中佐の仕業なのですが・・・。

この爆殺事件でクルツ中佐自身も死を装います。

また、クルツ中佐自身は全身義体のサイボーグなのですが、実はあのボディは遠隔操作義体で、本体は孤児院にいます。

成長障害(?)で全身義体化すら出来ないクルツ(本体)が、様々な義体を操って自分たちの生き残りと第三世界へのシフトを目指していたのです。

全てが露呈した後に、自身の本体を水葬するクルツ中佐と、草薙素子の会話や関係性などはかな~り、ロマンチックな感じですね。

またこのクルツの本体が押井守監督の天使のたまごのヒロインみたいな、白髪ロングで肌も真っ白。儚げな感じで(笑)

これは電脳空間のお花畑に車イスとか、白いワンピースの双子の黒人少女が手をつないでいるとか、攻殻=ハードSFとかウンチク!みたいな人にとっては賛否あると思います。

個人的にはキレイなので好きで問題ありませんけど、原作の明るくマッチョな作風とは大分違っています。

ともあれ、この構造が一番上部にあって、チームの一次解散やら、潜水艦への襲撃、ライゾーなど501機関員との戦闘があります。

正直、ファイアスターターが万能すぎて、あらゆるものをハッキングしてしまいますから、またか!?みたいなシーンが多すぎてツライ点があります。

捕まえて電脳ロックしたぞ!→なにぃ!何で動ける→リモート義体だ!とか、義体の中身が別人で、疑似記憶だ!とか。

誰もがハッキングされたり、疑似記憶を刷り込まれたり、ボディと中身が一致していなかったりするのものですから、話の筋をいちいち追うのが大変。

最上位の構造から全てが派生していると考えて、なんとか理解できた気になります。

1回見ただけで全部の伏線や筋を理解するのは辛い映画です。

劇場版1作や2作目は演出こそハードでしたが、話の筋は単純で分かりやすかったですから、大分違いますね。

また、所々で原作のセリフやシーンを換骨奪胎しています。自分のゴーストで未来を作れとか。

エンディングのスタッフロールの途中で、大人ボディに乗り換えた草薙中佐がビルから飛び降りて目標を暗殺。そのまま光学迷彩で消えていくシーンが差し込まれています。

これなどは劇場版1作目の冒頭シーンの再現ですね。

そういえば映画冒頭で、企業と国家の関係や、アウトローな活動をする部隊の意味についても語っていましたね。

これは攻殻機動隊という部隊の存在意義についての説明でしょう。

最後に

この分かりづらい情報量の多さが攻殻って感じです。

原作の場合もキャラクターありきよりも、SFマインドに重点を置いているので、このアプローチはある意味正統派なのかな・・と。

原作1巻だと草薙、バトー、トグサ、部長くらいしかマトモに描写されていませんが、神山版でチームとしてそれぞれの斎藤や石川、ボーマ、パズの描写が増えて人物の掘り下げが出来たと思います。

それを両方とも踏まえた上でうぶちんが脚本を作るとariseになるのかも。

ただ、一か所だけスンナリ入れないシーンを入れるとすれば、まだ少女ボディに入っている草薙少佐を雌ゴリラ呼ばわりしているのは、無茶苦茶違和感ありました。

どっちかというと、厳しくて素直になれない孤独で不器用な姫様って感じで描かれていますから、無理やりお決まりのセリフを入れた感が凄かった。

どういう角度から見てもメスゴリラどころかツンデレ姫。

しかも、他のメンバーはみんな大人だから草薙素子の生い立ちとかを理解した上で、ちゃんと付き合っている。

むしろ天才肌だけどツンデレで傷つきやすい少佐を支えているのではないか、と。

少佐は俺たちをパーツ呼ばわりしてもパーツ扱いしたことは無いとか、

少佐は独立するまでは失うべきものすら持っていなかったとか。

これだけ描写が積み重なったところに雌ゴリラだとマジで「うんっ???」って感じですよ。それはもうちょっと付き合いが長くなってからのセリフだろう・・・と。

逆に印象深かったシーンは、海岸沿いの道路わきに車を止めて、トグサ、バトー、素子の3人でサンドイッチを食べたり野菜ジュースを飲んでいるシーン。

この時に仕方ないって感じの草薙素子がサンドイッチの包装をはがして、大口開けて噛みつくシーンが可愛かった(笑)眉間にしわ寄せながらものを食べる女の子っていますよね。

長々書いてきましたが、非常に面白く、テレビ版にも期待できそうです。最初はロリ少佐に超・違和感がありましたが、結局1年位かけて慣れてしまいましたよ。

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追記:
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コメント

  1. くえ より:

    新劇場版の時間軸は劇場版1、2作目の前段階でしょ。
    テレビ版のタイトルにもarise(起こる,発生する)とあるし。。。
    だから、映画の最後に1作目の冒頭部分つながってるてことじゃないかなあ

  2. タチコマの方がかわいい より:

    大筋の解説ありがとうございます。
    少し気になった点があったのでいくつか、、、

    >拡張性を前提として設計されていない義体を利用していると、
    バージョンアップできなくなり、しかも旧パーツもなくなるので自分の体が
    メンテできなくなり、生きながらに腐り死ぬハメになります。

    #旧い電脳が新しい義体の規格に対応できないため、バージョンが上げられないのでは?旧いiPhoneを使っていると新しいiOSを入れたときに動作がつらいのと似てると感じました。

    >エンディングのスタッフロールの途中で、
    大人ボディに乗り換えた草薙中佐がビルから飛び降りて目標を暗殺。
    そのまま光学迷彩で消えていくシーンが差し込まれています。

    これなどは劇場版1作目の冒頭シーンの再現です。

    #新劇場版も押井版も原作漫画の一話目が元になっているはずです。そのあとに続いた桜の24時間監視も原作からです。セリフがほとんど一緒だったので原作をループした自分には初見で次のセリフが浮かんできました。

    >ただ、一か所だけスンナリ入れないシーンを入れるとすれば、
    まだ少女ボディに入っている草薙少佐を雌ゴリラ呼ばわりしているのは、
    無茶苦茶違和感ありました。

    #これは今までのARISEでもありましたよ。延長線上にあると強調したかったのでしょう。

    とはいえ花見で原作の冒頭のつなげて前日譚と位置付けられていたARISEも終わりですね。一時は荒巻部長と対立して攻殻機動隊に本当になれるのか心配しました。次の攻殻機動隊はどうなるのか楽しみです。

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