凄く面白いので以前からレビュー書きたいな、と思いながらもハードルの高さから手を付けなかった無かった作品です。
本作は空海と最澄のダブル主人公を扱った漫画なので、ジャンル的には歴史ロマンものになるかと思います。
近い作品をあえて言えば、日出るところの天子でしょうか。
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アレは聖徳太子を主人公にしていましたが、聖徳太子創作説もあるくらいに資料が少なく、謎の多い人物です。
創作の入る余地は十分にありました。
ところが、空海と最澄といえば二人とも山ほど資料がありますし、空海などは自筆の著書が大量にあるうえに、死後に神格化されて「死んでない事」にされたり、神格化されるほどに伝説の多い人物です。
しかも、私は真言宗の在家信徒だったりするので、阿吽は単なる歴史上の人物というより個人的には信仰対象の漫画なのです。
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虚空蔵求聞持法とか光明真言なんてメチャクチャ身近、空で言えるくらいw
ちなみに、作中でも語られた虚空蔵求聞持法ですが、アレは読んだ経典を忘れないための記憶力や知恵を付ける為の真言です。
しかも、別に無茶苦茶秘匿された行法というわけでなく、当時に雑密をしていた人たちの間では良く知られていたそうです。
そして、三教指帰の記述。
コミックの方だと、「土佐室戸岬にて勤念する。あたり一面にこだまが響き、明星 体に入る」と記載されていますが、訳が悪い・・・・と思う。
「谷響きを惜しまず、明星来影す」の1行ですよ、本来は。
なんで「明星来影す」を使わずに現代語に訳しちゃったのかと!
新しい版の聖書が「ですます体」になって神秘性薄れたのと一緒。
編集の人はチェックしなかったのかなぁ、ほんと残念!
他にも「言、心、体が整っていないと」という記述も「身口意」にしなかったのも引っかかるし・・・。
そんなわけで、解釈や演出について色々言いたくなってしまうわけです。
しかし、ここで歴史上の「正しい」空海と、漫画の演出上のアレンジや解釈について色々話してもつまらないので、チェックしておいたら絶対に面白い作品を紹介します。
阿吽をより楽しむための他作品
まず、絶対に見ておいてほしいのが映画「空海」
北大路欣也の空海と加藤剛の最澄がかっこよすぎる!
youtubeで予告編だけでも見て下さい。
おかざき真里さんが解釈した線が細くて危うい空海や最澄とは違いますが、凄いカリスマあります。
ちなみにアマゾンプライムビデオなら無料で見られます。
作中の薬子の乱の描写も阿吽と比べると凄く面白いですよ。
阿吽は安殿親王をアダルトチルドレンとして描写し、藤原薬子と共依存しているのですが、描き方が大分違うのです。
より現代的になっていますね。
また、夢枕獏の伝奇小説。
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今年は映画にもなったので必見ですね。とある場所では「名探偵空海」映画と言われたとか。
他には空海の解説本や著作を1つ読んでおくと面白さが増します。
解説本なら梅原猛の空海の思想。
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他にも密教の解説本を読むと面白い。
どうして、阿吽では神秘体験や幻覚的な描写がたびたびあるのか、その理由が良くわかるし、経典を集めて読んでばかりいる最澄と身体的体験を重視する空海(真魚)も後々の布石だという事が分かるはずです。
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