ジャンプが危ないって本当なのか【感想】

僕のヒーローアカデミア 社会

久しぶりに漫画喫茶に籠って漫画の一気読みをしてみました。ジャンプの連載陣が危ないと言われていますがホントかな?

何やらジャンプの連載が危ないのではないか、というツイートを見た事もあり、人気作品をまとめ読みしてみました。

ナルトに続き、こち亀とトリコが連載終了し、銀魂も終わりそうで、ハンターハンターはいつ再開するか分からない。

頼みの柱はワンピースだけ。

しかも人気作のワールドトリガーも作者の体調不良で連載中止中。

これが現在のジャンプのようです。

モダンの場合、ワンピースは単行本派だし、ハンターハンターが連載再開されている時くらいしかジャンプを買いません。

そもそもジャンプを買った時ですら読む漫画が数本しかないという状態です。

流石にオッサンになった今となっては少年誌はツライところです(笑)

さて、まとめ読みしたのは下記の2作。

ワールドトリガー 17 (ジャンプコミックスDIGITAL)
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僕のヒーローアカデミア 11 (ジャンプコミックス)
堀越 耕平
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ワールドトリガーと僕のヒーローアカデミアです。

無茶苦茶手堅い設計をしているのがひと目でわかる作りをしていて、最近の人気作は作家性を出すのが大変だな、と感じました。

どちらも学園もの+能力バトルで長期連載に耐えられるメインストーリーを持っています。

既巻を全て読んだのがこの2シリーズだけなので、他のジャンプ作品はどうなのか分かりません。

しかし、この2作はアニメ化もしているので、最近のジャンプのメインストリームと言っても良いのではないではないかと思います。

新シリーズの感想

どちらも物凄く現実を取り入れているな、というのが私の感じたところです。

能力バトルは既に漫画の少年漫画の表現様式として確立されているので、珍しくもないのですがそこに至るまでが違います。

連載開始から軌道に乗るまでの短い間に物凄く重要なテーマが語られていますし、私の世代の漫画と比べて現実の重力が重いのだと強く感じました。

例えばワールドトリガーは異世界からの侵略者に対抗する漫画ですが、主人公陣営の非効率的で硬直的な官僚組織に派閥争いに吊るし上げ記者会見。

記者会見で主人公がやり玉に挙げられるシーンがあるのですが、これなんてよくテレビで見かける光景です。

コレを少年漫画に取り込むか?って感じましたが、同時に今の少年たちにとっては大人は汚いし、理不尽だし、大人の世界で集団リンチがよくあると感じているからあの展開になったと考えるのが自然です。

いくら漫画でも読者のリアリティレベル低く見積って、突っ込みに堪えられない展開をすると途端に覚めますから、派閥争いや記者会見は子供が見ても受け入れられるレベルのリアルなのでしょう。

そりゃニュースや報道なんて嘘ばっかりってバレるわなw

テレビ視聴率が下がるわけです。

そしてヒーローアカデミア。

これはスーパーパワーとしてのアメリカが没落していって、自主防衛をせざるを得ない日本という風に政治的なメタファーが込められた漫画にしか見えませんでした。

笑いごとのように思われるかもしれませんが、モダンの目には傷だらけのアメリカンヒーローとその後継者ってイメージが強烈に連想されたのです。

どちらも組織やバトルが部活動の先輩後輩レベルのリアリティレベルで語られていますが、根っこの部分は時代性を反映していると強く感じました。

そして、ワンピースもファンタジー漫画ですが、政治的主張はかなり強いタイプだと思います。

むしろ能力バトルと海賊風の雰囲気でごまかしているのではないか、と思う位に政治的な漫画ではないでしょうか?

それと、ネット連載だけどファイアパンチ。

あれなんて露悪的な上にストーリーを分解してしまって、漫画の中でフィクションを作るなんてメタ的な事をやってる。

ファイアパンチ 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)
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最初は熱い復讐譚かと思っていたのに悪い意味で予想を裏切られました。

昔ながらの清く正しい少年漫画の文脈には無い作品だといえるでしょう。

オッサン世代の少年漫画

モダンの世代のジャンプ漫画だと、ドラゴンボールにダイの大冒険、幽遊白書、ジョジョ3部が直ぐに思いつきますが、どれも大分現実とは離れた架空の世界を基盤にしていました。

もちろんスラムダンクとかろくでなしブルースもありますが、ひと目で分かるほど積極的に社会問題を取り込んだりはしていなかったはずです。

現実世界の問題を取り込むか否か、今の漫画と昔の漫画を比べてこの違いは明らかだと思います。

ジャンプはオワコンなのか?

ジャンプの方針うんぬんは分かりませんし、今の作品がいいのか、悪いのかも良く分かりません。

ただ、すぐれた作品は世相を取り込むので今の作品が重いと感じるのは現実が重いからでしょう。

ただし、今のジャンプの売れ線となる作品は作品というより工業製品めいていて、神話的なパワーが感じられません。

頭でっかちというか、丁寧過ぎる(個人の感想ですw)

この作り方だと世代を代表するような作品は出てこないのではないか、と感じるのです。

既に中年となったオッサンにはジャンプの趨勢などどうでもいい事ですが、ジャンプを早売りする駄菓子屋まで何キロも自転車を転がしていくような魔力を持った作品が無い世代はちょっと可哀そうだなと思ったりもします。

今後、ワンピースと肩を並べるような作品が出てくるのか?

もし出てくるとしたらどんな作品になるのか?

全く予想も付きませんが、過去の名作ストックを消化するだけの漫画体験よりも毎週ドキドキする高揚感が大事だと思うのです。

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