空海-KU-KAI-美しき王妃の謎の感想と染谷将太さんについて

空海

実は公開直後に見に行ったのですが記事を書くのが遅れてしまいました。既に噂になっているように空海は完全な日本向けフックでしたが、個人的には結構好きな映画です。

この映画の原作は夢枕獏さんの沙門空海唐の国にて鬼と宴す、という作品です。

4巻に及ぶ作品をどうやって1本の映画に落とし込むのか気になっていたのですが、実際に映画を見ると、色んな意味で予想を超えた内容でした。

見どころは豪華な長安のセットと極楽の宴の幻術シーン。

タイトル詐欺だとか色々言われていますが、これだけでも見る価値はあるかと!

ただ映画のシナリオや原作からの改変部分については色々といいたいことはあります。

映画の内容と原作との違い

まず、全く空海の出番がありません。画面には出ていますが狂言回しというか、ホームズとワトスンというか、名探偵空海と助手白楽天って感じ。

唐の都、長安で起きた化け猫騒動を解決する為に空海と白楽天があちこちを歩き回り、楊貴妃と玄宗にまつわる歴史の真実を知るのが映画のストーリーとなります。

事件の当事者は既に死んでしまった玄宗と楊貴妃にまだ生き残っている白龍、丹龍。これって構造的に空海は事件の傍観者ですよね。しかも推理はほとんどありません。

謎解きをするのではなく、化け猫に導かれて事件の現場を歩き、楊貴妃に恋慕していた阿倍仲麻呂(阿部寛)が残した日記を読んだら肝心の事は全部書いてあった、というワケです。

映画は原作と比べると大分スケールダウンしており、底知れぬ実力者としての空海は描かれていません。

原作の空海は歴史的事実を下敷きにして超人感をパワーアップさせているのですが、映画の空海は別人ですね。

歴史的事実との違い

また映画中では意図的にか、真言密教の宗祖である空海に関する歴史的事実を無視して「大都会長安に留学した才能ある若者」として描写しています。

特に違和感が凄かったのは空海が唐へ渡る動機と船が嵐に巻き込まれて沈没するシーンです。この2点だけでも空海を知っている人は「はあ?」ってなる事間違いなし。

まず、空海が唐へ渡ったのは自ら密教を求めての事で、師の遺言を継いだからではありません。むしろ唐へ渡る前の空海がどこで何をしていたのか分からないのですから師の影すらないです。

空白期間に創作の余地があるとは言え、違和感が凄い。

しかも映画の中では朝廷に選ばれた者しか乗れない遣唐使船にどういう訳か赤ん坊を連れた母親が乗っていて、船は嵐にあって沈没します。

海に投げ出された空海は平常心を失ってしまいますが、子供を抱いた母親が嵐の中でも平然としているのを見て己の至らなさを思い知った、というのです。

空海が乗った遣唐使船は嵐にあって漂流はしたものの沈没していません。当時、外国へ行くのは国家的事業なので、遣唐使船は乗合船じゃない(笑)。

この映画を見に来るのは中高年が多いとの事ですが、北大路欣也の空海を見た後だと違和感が凄いと思います。

ちなみにアマゾンプライムビデオでは北大路欣也の空海がラインナップに加わっています。

また、ラストで空海が恵果和上のいる青龍寺を訪ねるのですが、寺の表札が「大青龍寺」になっており、明王像が訪問者に挑みかかるような良く分からない配置をされています。

青龍寺に「大」はつかないし、恵果の年齢が〇〇と合わな過ぎ!なんでスイカなんか売ってたんだと・・あ、ネタバレですね。

ここまでくると、あえて歴史的事実とズラすことでフィクション感を強めているようにすら思えます。

夢枕作品の主人公の特徴

餓狼伝、キマイラ、陰陽師など、夢枕作品の主人公は作中で底知れない強さをもっており、「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」での空海も圧倒的に強い呪術者として登場します。

どの主人公もとにかく「雄度が高い」のが特徴で、主人公が超人過ぎるから読者へ翻訳が必要になり、一般人の友人や語り部が付きます。

その結果としてバディものになるのです。

陰陽師だったら安倍晴明に源博雅、空海と橘逸勢。

映画では解説役の橘逸勢ポジションに白楽天を置いているわけです。

原作イメージに忠実なのは最近発売された方ではなく、映画化される前に書かれた大西実生子さんのコミカライズ版ですが残念ながら1巻で止まっており、続きは読めません。

漫画版で興味をもったら原作に手を出してみると良いと思います。大分イメージがつきやすくなるでしょう。

染谷将太さんの役について

最後に俳優についてちょっと触れてみます。

正直、私はオタククラスタなのでトレンディな邦画やドラマは見ません。テレビすらないので芸能人には詳しくありません。

しかし、本作で染谷将太さんを知って、調べてみたらメッチャ色んな仕事をしている人気俳優であることを知りました。

よく中国語の勉強が必要で丸坊主になる役を受けたな、と驚きです。

しかも、今度は実写版聖お兄さんでブッダの役をやるとか!

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このまま仏教俳優になるのなら出演俳優で見に行く映画を決めても良いかな、と思います。

吹き替えのズレ

また、本当は中国語版を字幕で見たかったのですが、何故か日本語版しか上映されていません。

中国人役はプロの声優が吹き替えているので違和感がありませんが、問題なのは空海の声です。

おそらくは自分で自分の声を当てているせいか、染谷さんの声だけ微妙に映像からズレて聞こえるのです。映画を見ていて、時々違和感を感じました。

前編字幕にすればもっと長安の空気が出たハズなので非常に残念です。

なんで二度手間なことしちゃったのだろうか。

ともあれ、空海大活躍を期待している人には肩透かしですが、当時世界最大級だった長安、華麗な幻術、可愛い黒猫が好きな人は見に行く価値があると思います。

仏教漫画については別途記事を書いたので興味がある方はどうぞ。

仏教漫画のおすすめ

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