エウレカセブンハイエボリューションの1作目が配信されていたので、2作目のアネモネを劇場に見に行きました。ネタバレありで内容を紹介します。
目次
エウレカセブンの歴史
まずはざっとエウレカセブンの映像作品について振り返ってみました。
エウレカセブンといえば、一作目のテレビアニメが放送されたのが2005年の事。
その後、2009年には、劇場版のポケットは虹でいっぱいが上映されました。内容は完全にパラレルワールドで、キャラクターは同じでも設定や性格が別人になっていたのがショックでしたね。
さらに2012年にはテレビシリーズとして、一作目の主人公レントンとヒロイン、エウレカの息子が主人公のエウレカセブンAOが放送されました。
2017年に新たに1作目の世界観をベースにした劇場版ハイエボリューションが3部作として復活しました。
これらの作品ハイエボリューションの1作目までAmazonプライムビデオで見ることが出来ます。
ハイエボリューションの1作目について
さて、ここからが本題です。
2017年に発表されたハイエボリューションの1作目はかなり批判を受けました。これらは作品のコメント欄で確認できます。
新作カット25分の後は、テレビ版の設定を改変しながらエピソードを切り貼りしたダイジェスト版だったからです。
病気によるホランド役の声優さんの交代やアクセル役やデューイ役の声優さんが亡くなったことから、シナリオを組みなおしたのではないか、と擁護する声もあったようですが作品単体としては相当に歪な構成をしている事は否定できません。
実際、私自身も25分から後ろはスライドバーを動かして、飛ばしながら見たくらいです。
しかし、2作目のアネモネは全く違う完全な新作エピソードで、1作目の不自然な構成の種明かしとなっていました。
アネモネについて
なんと2作目の世界は地球。1作目でアドロックが垣間見てサマー・オブ・ラブと呼んだ世界なのでしょう。
アネモネはハーフの女の子で、石井・風花・アネモネという名前に変更されています。日系なんですね。
母親はどうやら小さいときに亡くなったらしく、父親と暮らしていました。
ところが、地球は16年にもわたってスカブコーラルに浸食されています。コーラリアンには通常兵器が通用しないので、人類は連戦連敗で、アネモネの父親はコーラリアンとの闘いで死んでしまいます。
物理攻撃が通用しないスカブコーラルに対して、人類はハッキングで戦うのですが、その際に向こう側の世界のアバターにアネモネが乗り移るのです。
これまでのエウレカセブンとは似ても似つかない内容になっていますよね。
普通に東京の地図とか無礼なマスコミとか出てくるので、結構新鮮でした。
アネモネの性格なんですが、もう一作目のメンヘラさは一切ありません。逆に凄く健気ないい娘になってて仰天。別人ですよ。
逆にエウレカの方が黒い涙を流す恨みがましい感じのメンヘラになっていました。
シルバーボックスとエウレカについて
シルバーボックスとエウレカの存在はハイエボリューションの1作目と深く関りがあり、作品の根幹に関わっています。
ハイエボリューションで初めて追加された要素が決戦弾頭シルバーボックスです。
シルバーボックスは後にサマーオブラブと呼ばれるようになる作戦で、スカブコーラルの指令クラスタに打ち込んで同期をすれば、スカブを滅ぼせる機能を備えているという事だったのですが、途中で製作者のアドロックが欠陥に気づいて機能をストップさせます。
機能を緊急停止させなかったら、シルバーボックスによって暴走したしたスカブが発した謎の光が世界を滅ぼしていたでしょうからね。
シルバーボックスを止める際、アドロックが見たのがおそらくは地球でしょう。
で、どうやらエウレカはスカブに一度還ろうした時に、このシルバーボックスを取り込んだらしいのです。
その世界線ではレントンが確実に死ぬらしく、エウレカはレントンが死なない世界を作るため、何度も何度もシルバーボックスの力を使って世界を巻き戻したり色々とザッピングしていたんです。
シルバーボックスとスカブには世界を作ったり、繋げたりする力があるようです。
これがハイエボ1で超不評をかった意味不明編集の理由です。
こんなの本作を見ないと絶対に分かりっこありません。
そして、エウレカがシルバーボックスで世界を作り直す度、地球にはスカブが現れて、世界を浸食するんです。
スカブに物理攻撃がきかないのは、文字通りこの世のものではないからです。エウレカがシルバーボックスで世界を作った時に生まれたゴミみたいなものですね。
スカブをハッキングして人間の意識をダイブすることで戦う、という戦術の元になったのが、なぜか半分だけ地球に現れていたデューイ・ノヴァクです。
彼はスカブの側で見つかったらしく、捕らわれて情報を吐かされたようですね。
これが地球時間だと16年間つづいているわけです。
アネモネとエウレカの物語について
こんな具合に地球に大迷惑をかけながらも、健気にレントン生存の道を探しているエウレカですが、すべての試みは失敗に終わっています。
アネモネはダイブする度にエウレカが作った世界を壊すことで、地球に現れたスカブを崩壊させていくのですが、どの世界でもレントンは死んでしまう事が確定しています。
にも関わらず、最後に残った世界を壊されたくないエウレカは、最後のスカブでダイブされないように最大の物理的抵抗をした上で、アネモネに父親が死なない世界を作ってあげると誘惑するのです。
しかし、本作でいい娘になったアネモネは誘惑を拒否し、自分の世界に引きこもっているエウレカを世界の外、地球へ連れ出すのです。
すると、何故かエウレカの世界のモノや人が地球に具現化!月光号やゲッコーステイツが地球に登場。先に半分だけ地球に来ていたデューイも受肉を果します。
レントンの復活を諦めてさめざめ泣くエウレカですが、ラストでレントンがコンパクドライブを振っている姿が映って終了。
多分、3作目では地球を舞台に初代エウレカセブンの登場キャラクターが活躍し、エウレカとレントンが再開するのでしょう。
ハイエボリューションを存在意義について
正直、エウレカセブンは1作目の人気が高かったせいで、漫画や小説を含め様々な派生作品が生まれました。
特に漫画などはエウレカセブンのテレビシリーズを基にしていても、物語がオリジナル展開になっているくらいです。
その後の劇場版やAOはエウレカセブンの名前や世界設定は踏襲していても、やはり別物と呼ばざるを得ません。
そこで初代から12年が過ぎた頃にハイエボリューションが生まれます。
これはあちこちに派生したエウレカセブン宇宙を統合するための試みだと思います。
ガンダムが年表や設定に縛られることで無限の広がりを得たのとは逆に、時間も設定も別々の作品をシルバーボックスとスカブが繋いでいる、という世界観を提示したのです。
ある意味では何でもできる「ゆるふわ」世界観なんですが、一本背骨を作りたかったのかもしれませんね。
劇場アニメーションとしては、久しぶりに気持ちのいいロボットものを見たな、という感じで爽快感があって好きです。
アネモネがホントにいい娘になっていたので、不快感もありませんでした。
ただ、どうしてもハイクオリティ作品に比べると作画などの甘さは見逃せません。大画面だと粗が目立つんですよね。輪郭線がメチャクチャ太かったり。
テレビサイズなら全く目立たないとは思うのですけど、劇場ではきついかもですね。
エウレカセブンシリーズはAmazonプライムビデオで見放題なので、面白かったら劇場に足を運ぶのも良いと思います。
たぶん、ハイエボ1を見たらモヤモヤするのでANEMONEを見ないと収まらないとおもいます。
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