【劇場版】幼女戦記の感想と元ネタについて【レビュー】

劇場版幼女戦記 アニメ

幼女戦記の映画がついに公開!公開日から少し遅れて見てきたのですが、相当に面白い!音響、声優、ブラックジョーク、戦史ネタの4つの視点でレビューします。ネタバレ要素あるのでご了承ください。

例によってアンチクライマックスにまとめてしまうと、

とにかく面白いから絶対劇場で見たほうがいい!

の一言に尽きます。

ガルパンの劇場版みたいに戦場音が相当にイイので劇場の音響システムで見ないと勿体ないです。

単なる戦争アクション映画としても相当に面白いですし、戦史・・・特にヨーロッパ戦線好きだったらもっと面白い。

ハイコンテクストなネタも相当にぶっこんでいるので、メチャクチャお得感ありました。

パンフレット買っちゃいましたw

色々と語りたいことがあるので、順番に触れていきましょう。

ネタバレ要素あるので注意して下さい。

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劇場版幼女戦記のあらすじ

時系列的にはテレビシリーズが終わった後の物語です。ただし、冒頭で一気に数十年が経過しており、帝国が最終的に敗北したことが明らかになります。

マッドサイエンティストのシューゲル博士も引退して教会の聖職者になっています。

インタビューで帝国が負けた理由を訊かれた博士は、圧倒的に強い帝国に対する恐怖の感情が帝国を打ち負かした、と断言。

そこから一気に時代が戻って、南方へ逃げたフランス軍・・・・じゃなかった。自由共和国のド・ゴール・・・じゃなくてド・ルーゴ将軍との交戦シーンが始まります。

陽動作戦に乗せられたターニャは強引に本陣を攻略。爆裂術式で自由共和国の残党を吹き飛ばします。

この辺りまではyoutubeの予告編としてアップされているところです。

ちなみに着弾の瞬間、ド・ルーゴが塹壕に放り投げられるシーンが挟まっていたので、彼の生死は不明となっています。復讐者としての出番があるかな?

さて、こうして無事に南方攻略を終えて帰国した第二〇三魔導大隊ですが、休暇を与えられるわけでは無く、いきなり北方のルーシー連邦の偵察へ駆り出されます。

ところが国境侵犯を含む隠密偵察を行っている最中、連邦の列車砲がいきなり発射。ちょうどタイミング悪く、帝国との間に戦端が開かれたのです。

開戦の連絡を受け、圧倒的な人海戦術で帝国に侵攻する連邦の圧力をそらすため、ターニャは砲撃陣地を破壊してから一気に連邦の首都を突くことを具申します。

無線でゼートゥーア中将らの承認を得て、一気に首都モスクワ・・・じゃなくてモスコーを直撃するターニャ率いる第二〇三魔導大隊。

何故かルーシー連邦では魔導士を粛正してしまったので、防空戦力がほぼゼロとなっており、あまりにもアッサリとへ侵入出来てしまったのは戦史的には笑いどころですね。

どうやらこの世界でのルーシー連邦は共産主義を掲げているので魔導のような宗教っぽいものはアウトみたいです。

そんなワケでターニャ達第二〇三魔導大隊は無防備な首都モスコーを蹂躙し放題。

スターリン像・・・じゃなくてルーシー連邦の偉大なる指導者ヨセフの巨像を爆破したり、あちこちに帝国旗を掲げて国歌斉唱&記録映画撮影をします。

この時、アメリカ・・・じゃなくて合衆国を含む連合軍が連邦と共同戦線を張るため、モスコーに駐屯していました。

その中には父親をターニャに殺されたメアリー・スーがいます。テレビ版でターニャのライバル的な役回りをしたアンソンの娘です。

宿舎を爆撃されて負傷した友人を見たメアリーは逆上。

上官の制止も吹っ切り、単身でターニャに突っかかっていきます。存在xの加護を得たメアリーは力押しで戦いますが、敗北。

この時、初めてターニャの小銃が父親のものである事を知り、彼女を仇と認識します。ここからメアリーのクレイジーっぷりが爆発するのです。

なお、この首都直撃があまりにもやり過ぎだった為、政治的な副作用として、帝国と連邦は講和が不可能となってしまい、レルゲンやゼートゥーアらは頭を抱えます。

第二〇三魔導大隊は大きな自由裁量を得て前線で連邦と戦うのですが、とある理由で戦場の地勢的な要所であるティゲンホーフを防衛する事になります。

そこへ人的資源を無駄遣いしまくった無謀な突撃を繰り返す連邦とメアリー含む連合軍が侵攻してきます。

第二〇三魔導大隊を含む帝国はティゲンホーフを防衛するため、圧倒的多数の敵と戦う羽目になるのですが、ここがメチャクチャ凄い。

アクション、爆音、テンポ、人的資源をゴミのように扱う連邦や報告が改ざんされて上に上がっていく様子などは非効率なソ連のブラックジョークそのもの。

連邦の兵士は畑で採れるw

ターニャは復讐鬼となったメアリーと交戦し、辛くも撃退。連邦の大攻勢も失敗に終わります。

参謀本部へ戻ったターニャは、版図を広げすぎて疲弊している帝国は軍隊再編の必要性を具申し、自分が「後方」でその役目を負うといいますが、当然のように却下。

しかし、最終的にはターニャの申し出は承認され憧れの後方勤務を獲得します。提案内容が妥当だったのです。

これで自分に過酷な戦場を用意する存在xに勝った!運命に勝った!これが人間の条件なのだ!とノリノリのターニャ、メチャクチャ嬉しそう。

ところが数か月後、ゼートゥーアからの電話で自分が発案した「戦闘団」の有用性を実戦で示せ、と命令が下ります。

第二〇三魔導大隊だけでなく歩兵や機械化部隊までも運営することに!

安全な後方で大過なく書類仕事をこなすはずだったのに・・・どうしてこうなったと絶叫するターニャ。

キャラクターと国家と元ネタ

ターニャ・フォン・デグレチェフ

主人公にして元エリートサラリーマンのT・S(トランスセクシャル)幼女というとんでもない飛び道具。

エリートサラリーマン的な価値観を持っているせいで幼女らしかぬ思考や言動をするのがギャップなのですが、どう考えても体や力に心が引きづられているのが面白いところ。

本人も元の自分を意識しなくなっているんじゃなかろうか?

後方勤務がうれしくて教会でバレエのステップを踏むとかw

また、自分の外見をうまく利用していますね。

ガラスの額縁をぶんなぐって出血したルーデルドルフに上目遣いでハンカチを巻いているシーンなんかは、まさに自然と出てきた媚!

お前、元の体だったら絶対にそのムーブしてないだろww

まあ、その目論見は成功し一度は成功して後方に行けましたけど。

組織人としての最適化である保身に留まっているので、帝国という国家自体がどうなるか、という巨視的な視点を持てない点や成功が逆効果になる(連邦首都の蹂躙等)点が可愛いところ。

※原作ではもっと巨視的ですが、アニメだと少しアホに見えるw

組織での立ち回り方だったらゼートゥーアらに勝てないのは当然ですよね。

ぶっちゃけ悠木碧さんの声と演技とキャラデザが相乗効果でヤバすぎる。

ターニャのねんどろいどを買おうと思ったらプレミアがついていて仰天。ちょっと3倍はきつい。再販されたら買うんだけどなぁ。

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ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ

漫画版での美少女ルックスがアニメ版で食いしん坊のムーミンになった悲劇の副官。

でも、こっちのデザインが絶対に当たりだと思う。美少女二人だと胸焼けするし、愛嬌があるタイプの方が男所帯には映える。メッチャ有能。

戦記物でいうところの下士官を補佐する軍曹タイプですね。

メアリー・スー

存在Xから力を与えられたターニャの宿敵。合衆国出身として連合国軍に参加して、帝国と戦います。

いわゆる熱血的な主人公ムーブをするのですが、私怨で戦う為に軍人としては大失格。

力が強いのに命令無視で突撃して大けがして帰ってくるとか迷惑すぎる。無能な働き者されていたのが印象的ですね。

それと、ネーミングに悪意がありすぎる。

メアリー・スーという名前はいわゆる海外の夢小説のオリジナル完璧主人公を揶揄したものです。

確かに立場的には戦争で父親を失った悲劇のヒロインで神の加護まで得ていますが、組織人の視点から見ると厄介者以外の何物でもないって感じ。

ピエール・ミシェル・ド・ルーゴ

自由共和国の指導者だけど、元ネタ的には明らかにフランスの大統領シャルル・ドゴール。

実際、アフリカに亡命して自由フランス軍を率いていましたし。

フランス本国は史実では全くドイツ(帝国)に歯が立たず圧倒いう間に降伏し、散発的なパルチザン活動で嫌がらせをしていますが、自由フランス側がどうかかわってくるのか気になるところです。

ヨセフ・シュガシュヴィリ

ルーシー連邦の人民党書記長。元ネタは明らかにスターリン。

一般的に知られるスターリンという名称は鋼鉄の人というペンネームです。スターリンの本名はヨシフ・ベサリオニス・ジュガシヴィリと言います。

ホントにそのまんま。

ルーシー連邦

明らかにソビエト連邦の忠実なブラックジョーク、あるいはパロディ。共産主義を標榜しており、唯物史観のせいか、魔導などという怪しげなものは排除しています。

そのせいで防空戦力が無くなって、ターニャらに首都をボコボコにされたのですが、これは第二次世界大戦がはじまる際にスターリングが反逆を恐れて士官を大量に粛正したのが元ネタだと思われます。

ヒトラーもソ連の行き過ぎた粛正を知って勝機ありと判断をしたらしいですし。

おかげでソ連は農民を強制徴兵して人海戦術でドイツと戦う羽目になりました。兵士が畑から採れるというのも初出は不明ですが、戦史クラスタ的には一種の定型文ですね。

大祖国戦争(ソ連側から見た独ソ戦の事)では3000万人も死者を出していますし、人命の軽さが半端ない。

これに対してドイツの戦死者が1000万人で日本は300万人、アメリカは120万人の死者を出しています。こうして並べるとソ連の死者数は異常ですね。

また、粛正のせいで上の望まない報告をあげることが出来ない体制になっていて、現場の実情が伝わりづらくなっているのが映画で描写されましたが、マジであんな感じだったらしいです。

規律正しい事と厳罰には相当な差があります。中国でも計画に合わせて数字をいじっているようですから共産主義の宿阿なのかも(でも日本もこの前数字の改ざんが出てきたけど!)

映画では映画スターリングラードみたいに政治将校が登場していないとか、銃の数が足りなくて倒れた味方の銃を拾って撃つ描写がなかったのが残念かも。

ロリヤ

劇場版ではターニャに欲情するいかにも変態という感じで描写されていましたが、実際変態。

元ネタとなる人物は間違いなくラヴレンチー・ベリヤ内務人民委員部議長でしょう。

少数民族の虐殺やら秘密警察を使って同僚の弱みを握るとか、ろくでもない事ばかりを仕事にしていましたが、プライベートでも同じ。

車に乗って女漁りしてましたけど、あれ史実ですから!

Wikipediaを見れば彼の人畜ぶりが良く分かります。漁色と性的暴行ってチャプターが付けられる程の人は珍しいと思う。

また、作中で無理やりティゲンホーフを攻める事を提案して大損害を出しましたが、これも史実ネタです。誤った情報をスターリンに上げ続けていたため、ソ連が初戦で敗北し続けた原因となったからです。

サラマンダー戦闘団

映画のラストでターニャが率いる事になった新たな部隊。

ドイツ軍クラスタならカンプクルッペの事だと一瞬で分かるはず。カンプクルッペとは複数の兵科をひとまとめにして運用する戦闘部隊の事です。

その他

他にもシェークスピアの一節を引用したり、色々とネタがありましたがちょっと記憶がはっきりしません。BDが出たら買うつもりなので何度も見直したいですね。

最後に

色々と思いつくままに書いてきましたが、本当に面白い映画です。大満足。

やはり音ですよ、音。

爆発音とかドップラー効果っぽい加速音なんかは本当に気持ちいい。これは劇場でないとダメです。

ターニャとメアリーの対決で都市の中を飛びながら、石造りの街を破壊しまくるのも実に爽快です。

テレビ版幼女戦記はアマゾンプライムビデオなどで無料配信されているので、一通り目を通してから劇場に行った方が面白さが倍増するでしょう。

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