サウナ・温泉系エッセイや漫画は数多いですが、本作はかなり異色です。ダウナーポエム系エッセイマンガとしてはかなり面白いので是非手に取ってほしいですね。おすすめ!
湯遊ワンダーランドを知ったのは相模健康センターの売店。おきまりのサ道と合わせて陳列されていたので興味を持ちました。
著者はその特徴的なお名前で認知してましたけど読んだことはなかったんですよね。情念系のダウナー女流漫画家のイメージがあります。
さっさと水風呂にはいれ!
で、手に取って読み始めたんですが、これがメッチャもやもやするんです。
なんと1巻の94ページまで水風呂に入らない・・・というかサウナにも行かないし、どこがサウナ漫画なんじゃって感じです。
ダウナーな毎日がひたすら描かれているだけなんでげっそり。
銭湯に行く→サウナに入る→水風呂に入ろうとして断念、そして94ページ目でようやく水風呂にイン!
流石は連載漫画だけあって計画的ですよね。
しかしここから怒涛のサウナ漫画になるかと思いきや、違うんです。
サウナをめぐる人間関係にフォーカスしたエピソードが中心になって巻数を重ねていきます。
誇張されているとは思いますけど、女風呂ってめんどくさいな。ヌシとかマジでいるんかい。
しかし、これがメッチャ面白いんですよ。
いわゆるアッパー系の奇人変人ネタに振ると清野とおるになりますし、女無頼にゲスさと抒情性を加えると西原理恵子になるんですが、彼女はどっちの要素もあるけど絶対にコピーではない。
ポエティック・・・なんですけど曰く言い難い。
時々この人天才だなってネタが挟まっていて凄く惹かれるものがありますね。
傷つきやすさや辛さをそのまま出しても商業作品にならないからユーモアで装飾するけど、足りない気がして下ネタをぶち込んで煙幕をはるみたいな。
まあペンネームからして癖が強いですし。
女流作家の感性
これまでかなり多くの漫画やエッセイを読んできましたが、圧倒的にエッセイが面白いのは女性だと思うんです。
以前は中島らもとか椎名誠とか読んでたのですが、最近は作者買いするエッセイは女性ばっかり。
やはり男性作家は何らかの中心的なテーマがあって、その周辺を書こうとする感じでロジカルなんですよ。で、自分がある程度の社会経験を積んでしまうとそのロジカルの粗が見えてきたりして急激に冷める瞬間があるんです。
正直、村上龍とか椎名誠の本とか今になったら読めないし。昔は結構影響を受けたんですけどね。
しかし女性作家のエッセイは本当に本人のパーソナリティが中心になっていて、問題は私なのよっていう謎の強さと開き直りを感じます。ロジカルじゃないから消費されづらいような気がします。
作者インタビューを読んだところ、サウナ漫画だけどサウナのスペックとか書いたらボツになるそうで、サウナーに媚びるなとか、まさに編集さんの方針は正しいと思いますね。
完結!『湯遊ワンダーランド』3巻発売記念・第1巻~第3巻の試し読みを大公開
サウナ飯とかサウナ体験記みたいなのは男性作家が書いてますから、あえて女性作家が書く必要はないと思うんです。そういうのが読みたい人はサ道でも読めばよいかと。
本作は3巻で完結となりますが、作者に興味をひかれたので他の作品にも手を伸ばそうかと思います。
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